過去と古傷と穏やかな癒し

10/23

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
太陽からのフリースロー。 やはり一本目だからか、太陽は慎重にうとうとしていた。 「……なぁ」 太陽はシュートをうちながらオレに話しかけてくる。 オレは、わざと太陽に返事をしなかった。 する必要が、無かったから。 「そろそろ、話しちゃあくれねぇのか? 「…………なんで、そこまでオレの過去にこだわるんだ?」 自分から過去を話してやるとか持ちかけたくせに、こんなこと言うのは卑怯だって、そんなことくらい、わかってる。 でも、聞きたいから、とかの理由だったら、いくら太陽でも話したくは、ない。 「……なんとなく、ってことにしちゃあ、ダメか?」 「お前にも理由があるってこと、な」 オレはゴールに向かってボールを投げた。 よっしゃ、入った。 オレの心は、もう決まった。 「いいぜ、太陽。話してやる。あと、勝負とかへんな理由つけなくても話すぜ?」 「あ、はははー。……じゃあ、壁にでも寄りかかりますか」 「あぁ」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加