過去と古傷と穏やかな癒し

12/23

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「そうだな。あれは、お前も聞いたとおりオレが5歳、つまりは10年前のことだ」 ―――――――― ――――― ―― ――10年前 成田国際空港 「ねぇ、翼?本当によかったの?」 「いいんだよ、おかあさん。オレは、乙樹からもバスケからも逃げたんだ。このまま、日本からも、逃げさせてよ」 「翼…………。わかった、翼がそういうなら、母さんは止めない」 母さんはオレにそう言った。 いや、今思えば言ってくれていたのだとわかる。母さんだって、辛いはずだ。 乙樹のお母さんは、母さんの妹なんだ。母さんが辛いのは当たり前のことだ。 なのに、オレのワガママに付き合って、一緒にアメリカまで行ってくれたんだ。 10年後の今、オレは母さんに暴言とかはきまくってるけど、本当はすごい感謝してるんだ。 言葉では表しきれないくらい。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加