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「そうだな。あれは、お前も聞いたとおりオレが5歳、つまりは10年前のことだ」
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――10年前 成田国際空港
「ねぇ、翼?本当によかったの?」
「いいんだよ、おかあさん。オレは、乙樹からもバスケからも逃げたんだ。このまま、日本からも、逃げさせてよ」
「翼…………。わかった、翼がそういうなら、母さんは止めない」
母さんはオレにそう言った。
いや、今思えば言ってくれていたのだとわかる。母さんだって、辛いはずだ。
乙樹のお母さんは、母さんの妹なんだ。母さんが辛いのは当たり前のことだ。
なのに、オレのワガママに付き合って、一緒にアメリカまで行ってくれたんだ。
10年後の今、オレは母さんに暴言とかはきまくってるけど、本当はすごい感謝してるんだ。
言葉では表しきれないくらい。
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