過去と古傷と穏やかな癒し

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そんなだったけど、アメリカに来て2週間くらい経った時に、母さんが英語を教えてくれた。 「つーばさ!母さんと一緒に英語の勉強しよう?」 「やだよ、めんどくさいし」 母さんが優しく話しかけてきてくれても、オレはただ「やだ」って言うだけだった。 それでも母さんは諦めなくて、何回もオレに言ってきたんだ。 「じゃあ!翼は、母さんに付き添ってくれない?一人で覚えるのは寂しいもの。翼が覚えるんじゃなくて、母さんの練習を手伝ってよ」 「…………オレは勉強しない?」 「うん、しないよ」 あの時は、勉強しないかどうかなんて全然関係なかったんだ。 ただ、バスケもやらない、友達もいない退屈な日々を、母さんの勉強を手伝うことで退屈じゃなくしたかったんだ。 だから、母さんの勉強をするのはオレじゃないなんて言葉を信じたんだ。 騙されてたけどな。 .
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