過去と古傷と穏やかな癒し

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「悠太は、やらないのか?バスケ」 「僕はほら、運動音痴だから」 悠太の言ったとおり、コイツはかなりの運動音痴だった。 それは見てわかるくらいで、簡単に言えば、走ったら絶対に一回はコケる。 「……やってみたら、以外にできるかもよ」 「僕には無理だよ。走ったら直ぐに転んじゃうのに、ドリブルなんてもってのほかだよ」 まぁたしかに、ドリブルが出来ないと一対一はほぼ負けに等しい。 しかも、悠太は背が低いから尚更ドリブルが出来ないと、ガードとして機能しない。 走ってる時にすぐ転ぶのをまず直さないといけないだろう。まず何よりも。 「……一緒に見学してるか?」 「うん。…………あ、あのさ」 「なんだよ」 「えと、翼くんは、バスケやってたん、だよ、ね……?」 「え?」 この時、なんで悠太がオレに向けてそんなことを言ったのか、いまだにわからない。 「な、なんとなく、なんだけど」 悠太の言葉からして、“なんとなく”なんて適当に言ったんじゃなかった。 言い切っていた。 やっていたんだよね、と。
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