過去の栄光は優しい思い出

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日曜日――― 天ちゃんに頼み込まれ、学生時代のことを話すことになった。 にしてもあんなに素直で礼儀の正しい天ちゃんは、とても麻恵の娘とは思えない。 顔は兄妹揃って母親似なのに性格は似ても似つかないかな。 「ほら翼。あんたは家にいないで遊んできなさい」 「はぁ?なんでだよ」 「いいからどっか行きなさい。家にいたら邪魔」 無表情で翼に話しかける。 私のその顔にびくついた翼は、文句をいいながらも朝早くから家を出ていった。 「しゃーない。生意気双子どもにバスケでも教えますかな」 なんとなく、翼には聞かれたくないと思ったから、必死に翼を追い出した。 なんとなくと言っても、たぶん理由は恥ずかしいからだと思う。 まぁ、別に無表情で言う必要性はまったくといっていいほど無い。 自分で言ったけど、段々翼が可哀想になってきた。
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