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「とまぁ、そんな感じです」
話終えて、私は懐かしさに浸っていた。
天ちゃんが喋らなかったからというのもあるが、やっぱり昔の話をすると、あの頃に戻った感覚に陥るからだろう。
「……ったです」
「へ?」
天ちゃんの声があまりにも聞き取りにくい小さな声だったから、思わず聞き返してしまった。
なんとも間抜けな声で。
「話を聞けて、良かったです。ありがとうございました」
「いいえ。あ、麻恵には内緒ね?」
「はい!」
約束をして、天ちゃんは大量の本を手に家へと帰っていった。
あの頃は、思い出してみると辛い思い出しかなかったように思える。
だけど、辛い思いをしたからこそ、麻恵とは親友になれたし、高校ではMVPにも輝くことができた。
辛い思い出はいつしか、楽しい思い出が埋め尽くすって、私は思った。
Fin.
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