絶望の瞬間と新しい可能性

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私はバスケをやらない訳じゃないんだ。 出来ないの。怖くて。 私は小学校でバスケをやる前からバスケが好きでね、部活が出来るようになったら絶対にバスケ部に入るって決めてたんだ。 私の通ってた小学校は部活は4年生からだったから、私はすごく4年生になるのが待ち遠しかった。 ――――6年前 「お母さん、ハンコ!押して!」 「天は何部に入るの?」 入部届けにハンコを押してもらわなくちゃいけなかったから、私は母さんに慌ただしく言っていた。 母さんの質問だって、今更だって思った。 小さい頃から母さんにバスケの話を聞かされて、好きにならない方がおかしいと思う。 太陽は話の途中で寝てたから、あの頃はまだバスケをやりたいとは思ってなかったみたいだけど。 「バスケ部!天ね、お母さんみたいになりたいの!」 「天がお母さんみたいになったら、すっごくカッコよくなっちゃうよー」 母さんはにっこりと笑いながら私の頭に手を置いて、優しく撫でてくれた。 母さんは嬉しかったのかな。私がバスケをやりたいって言ったの。 太陽も、バスケやればいいのにって、何回も太陽に言ってたっけな。
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