絶望の瞬間と新しい可能性

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待ちに待った土曜日が来て、試合の場所は調度私が通ってた学校だった。 来たのは2校。 どちらの学校も、勝てる相手だった。だけど、油断はしちゃいけない。 私の学校の試合が始まるくらいの時間になると、母さんが来た。それだけで嬉しかった。 太陽も来てたけど。 きっと母さんに無理矢理引きずられながら連れて来られたんだろう。 ピー! 1Q目が終わって、状況は劣勢。 流れも相手に持っていかれて、点差も開いてる。 まだ前半だけど、ここで態勢を戻せなかったら負ける。 「2Qは柏木、お前が行け」 監督の言葉に私は目を見開いた。 驚いたまま返事はしたけど、やっぱり驚きは隠せないままで。 「この試合を諦めたから柏木を出す訳じゃない。勝つために出すんだ。わかるな?」 「はい……」 「柏木が点を取れ。お前の好きにやっていい」 監督は、ものすごく思いきったことをしたと思った。 まだ入部して2ヶ月も経っていない4年生に、「お前の好きにやっていい」と言ったのだから。 これで私が下手したら、すべては監督が責任を受け持つことになる。 そんなのは、嫌だと思った。 監督は私を、私の実力を信じてくれたんだ。期待に答えないと。
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