絶望の瞬間と新しい可能性

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ピー! クォーター間の時間が終了し、第2Qの始まる合図としてタイマーの音が鳴り響いた。 コートに私が出てきたことで、会場内がざわついた。 当たり前だったのかもしれない。私はまだ4年生だったし、先輩よりも相手チームの人よりも背が低かったから。 あの時の身長は今の翼より遥かに小さかった。 「天。貴女の好きな様にプレイしていいよ。私たちは誰も責めたりしないから」 周囲がざわついていた時に、2つ上の先輩――6年生が、私を信用してくれてかけてくれた言葉だった。 その一言だけで嬉しくて、私は自分の好きな様にプレイすることが出来た。 試合中に短い時間を使って先輩にこうしてほしいと言ったり。土壇場で危なっかしかったけど、すごく楽しかった。 「美桜さん、私がそこに入ってくのでそこで――――」 「わかったけど、大丈夫?」 「はい!」 頭をフル稼働させて様々な攻め方を考え、それを自分自身で実行する。 いろいろと大丈夫ではなかったけれど、バスケをしているその時間が楽しくて、大丈夫だと言った。 止めたくなかったから。
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