絶望の瞬間と新しい可能性

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私たちの学校は、私を中心に攻撃を仕掛けていたけれど、別に私以外が攻めない訳じゃなかった。 チャンスさえあれば攻める。 私が始めに先輩たちに言った言葉だった。 「ナイッシュー、天!」 「はい!架織さんもナイスアシストです!」 こうして、その後も点を取り続けて流れも掴んだ私たちは、無事に逆転して勝利を手にした。 試合が終わったら反省会。今の試合で何が悪かったのか、どうするべきだったのかなどをレギュラー全員で話し合うのだ。 レギュラーじゃない人は、ベンチの片付けや荷物の移動。終わったら試合観戦だ。 「とりあえず、わかっているとは思うが、お前たちは相手を甘く見すぎていた」 監督の容赦ない一言に、1Q目に出た先輩たちが俯いた。 「何事も全力で当たらなければ、勝てる試合も勝てなくなってしまう。わかるよな?」 「はい……」 小さく弱々しい声で返事をする先輩。 そんな先輩たちの態度に気付いた監督は、弁解の言葉を口にした。 「怒っている訳じゃないんだ。ただな、お前たちには人を見下すような人間にはなってほしくはない。慢心は、人をダメにしてしまうからな」 監督の言っていることは正論で、最も生徒たちのことを考えた言葉だとわかる。
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