絶望の瞬間と新しい可能性

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「気分転換」 絶対に嘘だな。 何が気分転換だ。 私が太陽を冷ややかな目で見ていると、母さんが耳打ちしてきた。 「太陽ね、天が楽しそうにやってるバスケに興味がわいたのよ」 「へぇー?」 母さんにそれを聞いて、今も下手ながらドリブルしている太陽に近寄った。 もちろん、太陽で遊ぶためだ。 「太陽くん?聞いちゃったんだけどさぁー、バスケに興味もったって?部活入らないって言ってたのに?」 「う、うっせーよ。俺は部活なんてやらねーよ!ば、バスケはやるけど……」 照れ隠しのつもりなのか、見栄を張っているのか。 とにかく、私には聞こえた。小さくだけど、太陽はバスケはやるけどって言った。 大好きなバスケが広まっていくほど、嬉しいことはない。
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