絶望の瞬間と新しい可能性

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「そっかー、頑張れ。じゃあもうみんなのとこ行くね」 「またあとでね。体育館の外で待ってるから」 「うん!」 私は嬉しいことが重なり続けていたから、顔の緩みがおさまらなくなっていた。 そんな緩んだ顔のまま、私はみんなが集まっているところに合流した。 私が来たのは普段から使っている更衣室。 なんだか騒がしい。……何かあったのかと側にいた人に聞いた。 「ねぇ、何かあったの?」 「天ちゃん……!」 その子は私を見て目を見開き、驚いた声を上げた。 その声のせいで、みんなの視線が私に集まった。 ……正直怖いと思ったよ。 「何か、あったんですか」 私が騒ぎを起こしていた先輩に聞いた。 先輩は嫌そうな表情を浮かべてからこっちに歩いてきて、私に舌打ちをして更衣室から出ていった。 「美桜さん。どうかしたんですか?私、舌打ちされたんですけど……」 「よくあるひがみだよ。天が先輩よりも前に出てるからーってすっごい怒ってた」 美桜さんは私にそういってから、優しく声をかけてくれた。 「天は実力で試合に出たんだから気にしなくていいんだよー。これからも頑張ってね?」 「はい!」 美桜さんの期待の問いかけに、私は嬉しくて元気に返事をした。
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