絶望の瞬間と新しい可能性

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レギュラーで、スタメンを張っていた先輩たちは、すっごく私に優しかった。 先輩で年上なのに、同い年の友だちみたいに話しやすくて。 私も、先輩たちにすっごくなついてたんだ。 「天。私と一対一しよー」 私と一番仲のいい美桜さんは、私とよく2人組を組んでいた。 「はい!今日こそは、一本決めます」 「させないよー?私にもプライドってものがあるんだよー」 美桜さんは、話すときに語尾を伸ばしているから、強くないと思われがちだけど、すっごく上手い。 私なんて、足元にも及ばない。 「また負けたー!シュートも入らなかったし……」 「また私の勝ちー。天、帰りにジュース一本」 「えー?!聞いてませんよ!」 「今考えたんだもーん」 こんな無茶は日常茶飯事で、でも、すっごく楽しかった日々だった。 でも、私が選手なのを嫌な人も、先輩と仲良くするのが嫌な人ももちろんいて。 私は、もうすぐ失うことになってしまうことなんて知らずに、ただ楽しく過ごしていたの。
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