絶望の瞬間と新しい可能性

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「F向きってことはあれか。私が突撃型だと?」 「まぁ、あながち間違ってませんね。でも、美桜さんは性格以外にプレーがFなんですよ」 「……私のプレー?」 そう。美桜さんは自分でも言っちゃっているけど、シュートしたいとかが露骨に表に出る突撃型。 シュートにいけなかったらかなり機嫌が悪くなる。 しかも、機嫌が悪い時の美桜さんのドライブほど、恐ろしいものはないと思う。 自分の体すれすれを、刀が通ったような、そんなカンジの恐怖。 「美桜さんは、ポイントガードって向いてないでしょ?司令塔ってシュートに行くチャンス無くなるし」 「うん。私、人に指示するのが苦手だから」 「そーいう人はプレーに現れるんです。とりあえず、視野が狭いからパスよりも先に自分で点を取りに行くことを考えます」 「あー、確かにそうかも」 ちなみに言うと、私もおんなじ。 人に指示するなんて出来やしない。パスを正確にさばいてる暇があるなら、私は点を取りに行く。と思う。 きっと美桜さんも、私と同じ考えだと思う。 「んー。今度からそれ、直さなきゃダメかぁ。パスも頭に入れとかないと、カットされやすくなっちゃいそうだし」 美桜さんは、偉い。 自分の欠点を見つけたり、言われたりしたら、改善することをいち早く目標にする。 普通の人ならきっと、自分への甘さが出てきてそう簡単には決められない。
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