絶望の瞬間と新しい可能性

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更衣室に戻った私は、自分のロッカーを開けた。 中にはやっぱりあった。 母さんからの、大事なプレゼント。 母さんがまだ学生だったころに、いつも持っていたものらしくて、お守り代わりにもらった。 お守りって言っても、ただの小さいバスケットボールなんだけど。 手のひらで全部覆えるくらい小さいんだ。 (あった……、よかったぁ) 私はそれをカバンの中に入れながら、心の中で安堵した。 それから、更衣室を出ようとしたとき、ちょっと気になったことがあった。 更衣室の中にはまだ何人か生徒が残っていた。 それが着替えとかでまだ残ってるんだったらよかったけど、ただ友達と話してるだけ。 幸い、残っていたのは同学年だったから、私はなんだかそれが嫌で、その子達に言った。 「ねぇ、先輩とか先生、外で待ってるんだよ。こんなとこで話してないで外出たら?」 なんで、こんなケンカ腰で言ってしまったのかと、あとあと後悔した。
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