絶望の瞬間と新しい可能性

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私の言葉に、さっきの余裕そうな表情一変。 その子は、慌てたように目を泳がせながらなにか言っていた。 きっと、今頭の中でなんて言おうか迷ってるんだと思う。 「ねぇ、結局はさ。私に部活辞めてほしいんでしょ?いいよ、そう言っても。私は弱くないから、誰にもチクらないもの」 わざと〝私は〟を強調させて言った。 これはもうれっきとした挑発だ。 勝ち目はある。 ていうか負けるわけないと思う。だから挑発したんだけど。 「なに?!じゃあ私たちは弱いって言うの?!」 「……そう言ってるのが、聞こえない?」 売り言葉には買い言葉。 そして、その買い言葉にまた私が油を注ぐ。怒らせて、冷静になんかさせない。 「いいわ、じゃあ言ってあげる!あんたうざいから部活辞めて!あんたがいると他の子が試合に出れないし、先輩とも話せないの。邪魔なの!」 ほら出た。 これがこの子の本性なんだ。これが冷静になんかなっていたら、この子は絶対に本音を言うことはなかっただろう。 だから挑発したんだ。 「ふぅん。一応それ、聞いといてあげる。辞める気は無いけどね?」 私は、今後一切この子たちに関わらないつもりで、捨て台詞をはいて更衣室を出ようとした。
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