絶望の瞬間と新しい可能性

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ちょっと考えはしていたけど、まさか本当に同い年とは思わなかった。 私は少し驚きながらも、笑いながら男の子と話す。 「私、天って言うんだ。少しの間だけど、仲良くしてね」 「オレ翼!よろしくな、そら!」 男の子――翼は、満面の笑みを浮かべながら、私に向かって右手を差し出した。 意味は聞かなくてもわかる。 だから、私は笑いながら翼のその手を右手で握り返した。 「――で、翼はなんで病院にいたの?」 一通り自己紹介を終えた私たちは、さっき会ったとは思えないほど仲良くなっていた。 その会話の途中、私は翼がここにいることに疑問を持った。 病院なんて、そうそう来るものでもないし、私が入院してる棟は、普通なら絶対に来ることのない場所だ。 そうなったら、答えは限られる。 一番可能性が高いのは、知り合いに入院患者がいてお見舞いに来たから、とかなんだけど。 「あぁ。オレさ、小さい頃に頭を強く打ち付けて入院したことがあるんだよ。それの後遺症が無いかどうかの検診」 「検診?」 「そーそー。月一で検診するんだけど、これがめんどくさくて」 あ。 なんかわかるかも。 異常なんて無いのに、病院に来るのってめんどくさいよね。
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