絶望の瞬間と新しい可能性

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「翼ー?どこー?」 私と翼が話していると、扉の外――廊下から翼を呼ぶ声が聞こえてきた。 その声に反応して、私と翼はお互い顔を見合わせた。 「呼んでるよ?たぶん」 「あ。やっぱりオレかな」 当たり前だ。 探されているのは“翼”と言う人。 そして、“翼”はただいま迷子の途中。 こんな状況が当てはまるの、私の目の前にいる“翼”しかいないでしょ。 「んー」 何やら声を出しながら扉から顔を出す翼。 その時、声がした。 「あっ。いた、翼!」 「おー。母さんじゃないか。さっきぶりー」 どうやら、本当に翼のことを探していたらしい。 それにしても、翼のお母さんへのあの態度はちょっと無いと思う。
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