絶望の瞬間と新しい可能性

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「検査終わっても帰って来ないし。なんでこんなとこにいたの?」 「んー?病院の中探検してたら迷った」 翼と話しているのが楽しくて、考えるべき疑問をすっかり忘れてた。 それにしても、翼が迷子になった理由が病院探検だったなんてなぁ……。 「病院は探検する場所じゃないっ!」 私は病室の中にいるからわからないけど、聞こえてきた音的に、たぶん翼は翼のお母さんに殴られたな。 ゴッとかいう鈍い音聞こえたし。 「い、痛いっす。母さん……」 相当痛かったのか、翼は頭を抱えて座り込んだ。 「で。この病室の人とあんた知り合いだったの?」 翼のお母さんは頭を抱える翼を無視して話始めた。 私のお母さんと同じ匂いがするなぁ。 「ううん、知らない。でも話してたら仲良くなった」 「迷惑かけてないでしょうね?!」 「かけてない、かけてない!本当だって!」 黙って2人の会話を聞いていたけど、仲よくて楽しい親子だなって思った。
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