絶望の瞬間と新しい可能性

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会話を聞いていて、1つ、わかったことがあった。 翼と翼のお母さんは、太陽とお母さんに似ている、かもしれない。 なんだろう。 親子なんだけど、友だち感覚、みたいなところが激似だった。 正直、それが羨ましいなって思ってしまったのだけれど。 「あ、あの!翼と話せて楽しかったですし、迷惑なんてとんでもない……」 私は、いつまでも怒られ続けている翼を見て不憫に思い、病室から外に聞こえる程度の声でしゃべった。 翼のお母さんはその声が聞こえたらしく、私に返事を返してきた。 「そう?ごめんね。翼と話してくれてありがとう」 私に遠慮してくれているのか、翼のお母さんは病室には入らずに外から話してきた。 「さ、翼。今日は武司さんが帰ってくるんだから、出迎えてあげないと泣くよ」 「あ、そか。父さんもだらしねーよなぁ」 お父さん、普段は家にいないのかな……? それにしても、翼の言い方は酷すぎると思う。 「じゃあな、そら!」 「うん、今日はありがと」 「復帰出来たらオレとも勝負しよーぜ」 「…………うんっ」
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