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むんむん唸りながら考えていると頭上から遠慮がちな錦戸の声がした。
「…きみ君?何そないに唸ってるん?」
顔を上げると悪戯に失敗したような表情で錦戸は少しもじもじしながら横山の隣に勢いよく座った。
「…今更やで?」
錦戸は横山の腿を景気よくパンッと叩き自分の膝の上で手を組み隣は見ずに真っ直ぐ前を見据えた。
錦戸の言葉に一瞬ビクリと肩を震わすも表情と声音から真意を汲み取り脱力する。
「そ、そうか…や、でも…」
何を言い訳するのか訳が解らなくなってきた横山は大人しく村上が戻るのを待つ事にした。ソファの背もたれにぐったり寄り掛かり目を閉じ左手で目元を覆う。
「…でもな?一つだけ教えて欲しいねんけど…」
「…なん?」
お互いに視線は合わさないまま会話を続ける。
「…本気の恋愛って男同士でもイイの?」
やはり横山の大難題は続いていた。
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