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プロローグ
もうどこまで逃げただろう。どれだけ走っただろう。
呼吸の仕方を忘れたかのように擦れた声で喘ぎ、その度に口の中に鉄の味が充満した。
まだ逃げなきゃ。
あいつが、あいつが、
ドサッ
はやる気持ちに限界の体力が追い付かず、足がもつれて倒れ込む。
あぁ、立たなきゃ、立たなきゃいけないのに
立てない。
ぺた、ぺた、と足音が近付く。
「もう逃がさないよ
理久くん」
―――あぁ、あぁ、
「じゃあね
バイバイ」
最後にみたのは、黒ずんだ血のこびり付いた―――
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