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私が印刷機を操作していると、にわかに周りが騒ついたため顔を上げた。
「嘘っ、松本部長よ」
「本当、いつ見ても素敵だわ」
女性社員達の黄色い歓声を浴びながら部署に来たのは、さっき私を助けてくれたあの尺に触る男だった…
「珍しいですねっ。松本部長が営業部に来てくれるなんてっ」
私が先ほどの事を思い出して固まっていると、営業部でマドンナ的存在の早野真梨奈さんが、当然のようにそいつの腕にくっついた。
あの…場所をわきまえましょうよ。
半ば呆れながらも、毎日派手なメイクと可愛い洋服を来ている早野さんが少しだけ羨ましく思えた。
…だって二人があまりにもお似合いだから。
「…いや、岡田部長に今度の責任者会議の資料を渡しに来ただけだよ。」
そんな早野さんに動じること無く持っていた資料を見せた彼は、少し抵抗するように彼女の腕を離した。
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