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ロビーに着くと既に栞が入り口で待っていた。
…だけど声をかけようにもかけられない。
てか、近付けない…
だって栞、何故か松本部長と談笑中なんだもん。
…何で松本部長がいるの?
私よりスタイルが良くて大人びている彼女は、松本部長と並んでいても違和感が無くて…
というより、どうして私の周りの女達はみんな可愛い人、綺麗な人が多いの?
今更ながら自分が惨めになってきた…。
「あれ~、彩子っ、何してんの?そんなとこで」
「あ…ううん。別に…」
別にって…
親友に隠し事してるみたいになってんじゃん。
私のバカ…。
「あ、原田の友人って植村さんの事だったんだ?」
「はい、そうです~」
何か栞、嬉しいオーラ全開なんだけど…
「今日は良く会うね。」
松本部長の視線が栞から私に移った。
「おぅっ…お疲れ様です…」
何っ。何なの、この感じっ。
緊張して声低っ。てか、おぅって何よ!
おっさんかっ。
「プッ…彩子何今の~」
超ウケる~、とか言って一人笑っている栞…
「……あの、どうして松本部長まで?」
「あ、俺は別に。仕事の話してただけだから。」
そんな栞を無視して私は上ずる声を必死に抑えた。
「…じゃあ原田、午後は会議あるから遅れんなよ」
「はーい。」
松本部長は一度、腕時計に目をやってからそそくさと戻ってしまった。
「栞?」
「ん~?」
「何か良い事あった?」
「ん~、まぁ…ねぇ」
「はぁ?」
意味深な笑顔で私を見る栞は、今まで見た事が無いくらい気持ち悪かった…。
だけど、私がこの笑顔の意味を知るのはまだまだずっと先の話…。
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