-EPISODE 2-

7/25
前へ
/32ページ
次へ
ロビーに着くと既に栞が入り口で待っていた。 …だけど声をかけようにもかけられない。 てか、近付けない… だって栞、何故か松本部長と談笑中なんだもん。 …何で松本部長がいるの? 私よりスタイルが良くて大人びている彼女は、松本部長と並んでいても違和感が無くて… というより、どうして私の周りの女達はみんな可愛い人、綺麗な人が多いの? 今更ながら自分が惨めになってきた…。 「あれ~、彩子っ、何してんの?そんなとこで」 「あ…ううん。別に…」 別にって… 親友に隠し事してるみたいになってんじゃん。 私のバカ…。 「あ、原田の友人って植村さんの事だったんだ?」 「はい、そうです~」 何か栞、嬉しいオーラ全開なんだけど… 「今日は良く会うね。」 松本部長の視線が栞から私に移った。 「おぅっ…お疲れ様です…」 何っ。何なの、この感じっ。 緊張して声低っ。てか、おぅって何よ! おっさんかっ。 「プッ…彩子何今の~」 超ウケる~、とか言って一人笑っている栞… 「……あの、どうして松本部長まで?」 「あ、俺は別に。仕事の話してただけだから。」 そんな栞を無視して私は上ずる声を必死に抑えた。 「…じゃあ原田、午後は会議あるから遅れんなよ」 「はーい。」 松本部長は一度、腕時計に目をやってからそそくさと戻ってしまった。 「栞?」 「ん~?」 「何か良い事あった?」 「ん~、まぁ…ねぇ」 「はぁ?」 意味深な笑顔で私を見る栞は、今まで見た事が無いくらい気持ち悪かった…。 だけど、私がこの笑顔の意味を知るのはまだまだずっと先の話…。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加