-EPISODE 1-

2/5
前へ
/32ページ
次へ
「ハァ、ハァ…っ」 資料室のドアの前で荒い呼吸を必死に整えてから、本日二回目の埃っぽい資料室に足を踏み入れた。 「去年の春。去年の春の会議録っと…」 もう間違えないようにと、呪文のように唱えながら棚を隈無く探す。 …あった。 しかもあんな高い所に…。 身長155㎝の私の頭上に見えた『平成二十二年春』の文字。 明らかに届かないが、今はそんな事言ってこれ以上時間をかけられない。 部長がご立腹だから… だけどどんなに手を伸ばしても届かなくて… 代わりに必要の無いファイルやら本に触れてしまい… 「キャー!」 私の悲鳴と同時にドサドサと頭にクリーンヒット…
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加