雪の降る夜の問題

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「ここは」  江坂が、不意に立ち止まる。中山は何事かとそちらを向くと、彼は工事現場を覆っている柵の一部に視線を止めていた。 「どうかしましたか?」  中山が問いかける。 「ここ、なんだかおかしくないですか?」  中山が管理人を務める雑居ビル、その隣に数年前、景気の悪化から計画が頓挫し、中途半端な状態で放置されている工事現場があるのだが、そこに人が入らないように設えられている囲いの一部が破れていたのだ。
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