雪の降る夜の問題

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「ただいま。外はすごい雪ですよ」  その言葉に、中山は顔を上げる。江坂が肩に積もった雪を払いながら体を縮こまらせていた。 「おや、クラエさん、お早いですね」  時計を見上げ、まだ七時を少し回ったくらいである事を確認すると、中山は老眼鏡を外して応える。 「あまり遅くまで残りたくないですからね。ほら、俺って、会社が嫌いだから」 「その割には、休日にも良く出社しているみたいじゃ無いですか」 「俺、家もあまり好きじゃ無いんだ」
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