雪の降る夜の問題

8/16
前へ
/79ページ
次へ
「ああ、ちょっと、ちょっと」  江坂を中山が呼び止める。 「はい?」 「セキュリティーを解除しないと、警報が鳴ってしまいますよ」  中山が指摘すると、江坂は驚きの表情を浮かべ、 「ああ、そうでしたね、危ない、危ない」と引き返してくる。 「しかし、このおかげで中山さんの仕事も楽になるでしょう?」  端末を操作しながら江坂が話しかける。 「ええ。その分、勤務時間が六時までになって、給料は減ってしまうんですけどね。家があまり好きでは無い私にとっては大問題ですよ」  中山は内心の思いを隠すように笑顔で応えた。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加