四大妖怪

2/28
720人が本棚に入れています
本棚に追加
/949ページ
「なぁ、生き返らせたい奴って誰なんだ?」 狐白は翡翠に腕を引っ張られながら彼女について行く。 辺りは相変わらず彼岸花が咲いていて、それらを照らす満月は怖いほど美しく、大きい。 彼岸花の郷と呼ばれるに相応しい光景だ。 「……紅の姉ちゃんのことか?」 「ううん、違う。いくら坊やでも、紅は生き返らせられない。なんせ紅は、命の核を失ってるからね」 狐白の言葉に、翡翠は悲しい目をしてそう答えた。 その言葉に、微妙に頷いた狐白は突然胸騒ぎのようなものを感じて、口を開こうとした。 だが同じ瞬間、翡翠がにこやかに笑って言った。 「紅は平気だよ。尊が結界張ってくれてたからね。に、してもすごいわぁ。本人が張った結界なんだから当たり前だけど……尊のあの妖術受けても壊れないなんてねぇ」 「…………」 心の中を見透かされた感じがして、狐白は口を閉じた。 まあ、疑問が解決したのだから文句はない。 「……姉ちゃんの命の核って、どこ行っちまったんだろうな」
/949ページ

最初のコメントを投稿しよう!