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本能には逆らえない。
それは狐白と同じ。
本能が殺せと囁けばそれに従い、助けろと言えばそれに従う。
嫌でも体は勝手に動いてしまう。
本能だから、それに従っている時は楽しくて仕方が無い。
だが全てが終わった時に感じる虚無感と後悔。
何度も自分に絶望して、それでもまた繰り返して。
「でもオレのやったことは消えねぇ。何百年経っても、消えねぇもんは消えねぇ……」
「そう思い込むのがあんたの悪いとこさ。なんでそんな態度取っておいて、そんなに繊細なのさ。矛盾してるよ?」
「でも事実だろ? 今でもオレを嫌う奴は大勢いる。それが事実だろ? 今回だって、必要以上にやっちまった……」
本当に難しい性格をしている。
でも彼が翡翠とこれほど話すのは初めてのこと。
こいつもなんだかんだ少しずつ変わってんだな、と思いながら翡翠は言う。
「あんたね、思い込むのを止めた方が良いよ? 狐白の坊やもあの女の子も、ホントにあんたを頼りにしてる。無関係のアタイが言うくらいなんだから、本当だよ」
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