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「なんで無関係のてめぇに言われて、それを信じなきゃいけねぇんだよ……」
「はぁ……あんた、馬鹿? 遠目から見てたアタイでも、二人があんたのことを信頼してるってのが嫌でも伝わったってこと。分かる?」
「…………」
黙り込んだ尊に、翡翠はやれやれと呆れてため息を漏らし、肩を落とした。
露になっている肩はまるで陶器のようで美しい。
「とにかく、あの子達はあんたを嫌うような事はしないさ。事実、あんたはあの子達の命を救ったんだからね。今まで通りに接してくれるよ、きっと」
翡翠はそこまで言うとニコリと笑って、そっぽを向いている尊の顔を見つめた。
背はだいぶ尊の方が高いが、翡翠は底の厚い履物を履いている為あまり変わらない。
「でもあんた、だいぶ変わったね。素でもアタイとこんだけ話すんだもん。……あの子達に感謝だね」
ツン、と彼の額を指先で突いて、翡翠は悪戯っぽく笑った。
今までなら、噛み付かれそうでこんな事出来なかったが、今はなんだか同等な気がする。
ギロリと睨まれたが、気にしない。
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