仲間との絆

9/25
前へ
/949ページ
次へ
そこまで言うと、尊は不敵な笑みを浮かべた。 獲物の小動物を前にした獣のように。 「お前、ホントに良い性格してんなぁ。オレもてめぇみてぇな性格なら、少しは違ってたかもしれねぇな」 「そうか? 今までずっと一緒にいたんだ。そんなの今更だぜ?」 狐白は無邪気に笑って、そう答えた。 少しずつ尊の禍々しい妖気が薄れてくる。 狼そのものの表情も優しくなって、いつもの尊に近付いていく。 そして彼は、目に涙を浮かべながら震える声音で問う。 「……本当に良いんですか? 私なんか、信用ならないでしょう。ずっとあなた達に嘘をついていたのですから……」 「はは、だからなんだよ。別に驚いてねぇ、っつたろ? 元々お前、俺より強かったし。それに……」 ちらりと椿に目をやると、彼女は笑顔で頷いて立ち上がり、尊を見上げた。 「あたし達のこと助けてくれたしね。尊がいなかったら、あたし死んでたよ?」 「俺も。俺蜘蛛苦手だからさぁ~。正直覚悟決めたぜ? 死ぬと思った」
/949ページ

最初のコメントを投稿しよう!

720人が本棚に入れています
本棚に追加