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おどけた言動に、尊の表情がとても穏やかになる。
目を細めた拍子に、つ、と涙が一筋彼の頬を伝って行った。
「ね、尊。これからも一緒に来てくれるよね? 戻って来てくれたもん。それに、あたし一人じゃ狐白のこと支えてあげられないし」
「俺も。俺一人じゃ、自分のことすら理解できねぇからな。お前がいてくれねぇと、駄目だ」
苦笑いしながらの椿の言葉。
子供のような笑顔での狐白の言葉。
尊は一度俯いてから涙に濡れた笑顔で頷いた。
「あなた方がそれで良いのなら……私は喜んであなた達と共に行きます」
その返答に狐白と椿は顔を見合わせて、自然と笑顔になった。
「んじゃ、改めてよろしくな、尊」
「あたしも。よろしくお願いします」
微笑みながら右手を差し出すと、尊は更に笑顔を大きくしてもう一度頷き、二人の手を取った。
「……ありがとうございます。でも、よろしくお願いしますを言うのは、私の方ですよ。……これからもまた、よろしくお願いします。二人とも……」
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