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いつもの優しい尊の声に、二人は安堵して頷いた。
それから手を解放して、尊はその手で涙に濡れた目元を拭った。
「……すみません。らしくないですね」
「別に? 生きてんだし、当たり前のことだろ?」
笑顔で言った尊に狐白も笑顔で返す。
なんだか胸の内が暖かい。
「……あ、そうだ。狐白、こんな時にですがすみません。私が破壊してしまった館を元に戻してくれませんか?」
「ん? なんだって?」
「壊れてしまった館を、あなたの力で元通りにして欲しいんです」
狐白は尊の言っていることを理解出来なかった。
あんなに大破した館を元通りにする。
一体どういうことなのだ。
「修理しろ……ってことか?」
戸惑いながら狐白が聞くと、尊は苦笑いしながら首を横に振った。
「そんなこと頼みませんよ。あなたの妖力で、館を直すんです」
「……?」
未だに理解が出来ない狐白に尊は苦い顔をして、腕を組んで悩んだ後最初から説明をすることにした。
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