仲間との絆

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「すみません……随分と久しぶりに力を使ったもので……。力の感覚が分からずに、つい……」 尊はそう言って、困惑した表情を浮かべた。 「満月だからだろ? 満月は狼の力を倍増させるとかなんとか……」 「ええ、それにも一因あります。だから満月は嫌いなんですよ。本能が一番働いてしまう日ですからね」 尊は答えて、自分の手を見下ろした。 もう震えていない。大丈夫だ。 「逆に新月の日は一番人間に近い状態でいられますから。唯一安心出来る日です。気を抜くと妖怪に戻ってしまいますから……」 「そっか。だから新月の夜は外に出てたのね?」 椿の言葉に尊は頷いた。 「俺は逆なんだよな。新月の日が一番力が強くて、満月の日が弱い。あ、じゃあ黙想は満月の日にやりゃ効率が良いのか」 「そうですね。もっと早くに気付いてあげるべきでした」 そう言ってお互い笑う。 こうして見ていると、尊が狐白を憎んでいると言うことが信じられない。 「さぁ、ではお喋りはここまでにして……狐白、お願い出来ますか?」
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