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「了解。んじゃ……」
「ちょ、ちょっと待って」
目を閉じて意識を集中させようとした時、椿の声が飛んできて狐白は目を開けた。
「なに?」
「あ、ゴメン……。ほら、大きい蜘蛛のこと。あと、桜ちゃんと、女の人?」
聞いた狐白はキョトンとしてからはっとして尊に顔を向けた。
「ああ、大丈夫です。狐白が元に戻したいものしか戻らないはずです。蜘蛛と桜と女性……そのことは後で全て説明します」
「館だけ……。蜘蛛、どかさなくて良いのか?」
「ええ。多分、もういないでしょうから」
なんだかよく分からないが、今胸の内にある疑問は後で彼が説明してくれそうだし、大丈夫だろう。
椿も納得したらしい。
「よし。じゃあ館だけ元に戻すぜ。出来るか分かんねぇけど」
「ええ。お願いします」
尊の言葉に頷いて、狐白は目を閉じて意識を集中させる。
館を元の姿に。
強く念じれば念じるほど体が熱くなる。
妖力が体の奥底から込み上げて来るのが分かる。
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