仲間との絆

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翡翠はお嬢様だったはずだ。 だが今翡翠と名乗るこの妖怪は、お嬢様とは程遠い身なりをしている。 特に、胸。 露になっている放漫な胸は彼女が動くたびに揺れる。 狐白は極力そこに視線を向けないようにして彼女の碧色の目を見て言う。 「証拠は? そんな格好、翡翠の姉ちゃんはしてなかったぞ? 妖気は一緒だけど?」 「ぁあ? えっ? あ、そっか。ゴメン、ゴメン」 一瞬喧嘩腰になったものの、翡翠はハッとして苦笑いしながら頭を掻いた。 そしてその場でくるりと一回転する。 その間に変化した翡翠は一瞬で人間の姿になり、ついでに妖気も極力消してしまった。 翡翠は人間ではないため、完全に妖気を消すことは出来ない。 「ほら。これでどうです? クス、信用していただけるかしら」 「わぁ……」 翡翠の変化を見ていた椿は無意識に声を上げた。 何故か長い上着を羽織っていない翡翠。 多分、前回はその上着の下に隠れていたのであろう今の翡翠の格好は、見たことのないようなものだった。 まるで異世界の着物だ。
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