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「可愛い……」
「ふふ、可愛いでしょう? でもゴメンなさいね。今はこのお話をする暇はございませんの。狐白の坊や、少し外にきて下さらない?」
「……まだ信用ならねぇけど」
「あら、残念ですわ。クス、大丈夫ですわ。わたくし、あなたを襲うなんてことしませんわ」
と、言うよりも前後の人格の変化が信用ならないのだが。
狐白は心の中でぶつくさ言いつつも、椿とアイコンタクトを取ってから翡翠と共に外に出た。
「失礼。驚かせてしまいましたわね。でもゴメンなさい。わたくし、この性格苦手なの。元に戻らせていただけます?」
「……別に構わねぇけど」
狐白の返事を聞いた翡翠はふわりと優しく笑って、またくるりと一回転した。
また花魁のような姿になる翡翠。
丸っこかった瞳もどこか吊り上がったように見える。
「あー……疲れた。ごめんね、狐白の坊や。あんたはアタイのこと知らないんだよね?」
「お、おう……」
性格が違い過ぎて怖い。
狐白は眉根を寄せながら一応返事をして、今度は彼女に問う。
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