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「ホントに翡翠の姉ちゃんか? 妖気は一緒だけど、信じらんねぇ」
「信じてくれよぅ……。アタイはアタイだよ。てか、妖気が同じなら本人だろう?」
「まあ、そうなんだけど……」
翡翠の言葉に狐白はなんだか騙されたような気分になる。
狐が狐につつまれるなんて洒落にもならないが、なんだかそんな気分だ。
「で? 姉ちゃんは何しに来たんだ?」
「尊の様子を見に、ね。馬鹿だねぇ、あいつも。クロオオカミの癖に妖力ぶっ放してぶっ倒れるなんてさ。妖力の使いすぎだよ、ありゃ。ほっとけば明日にでも起きるよ」
「ホントか?」
「シロオオカミのアタイが言うんだ、ホントだよ」
「やっぱ姉ちゃん、狼だったんだな……。苦手なタイプ……」
狐白の言葉に翡翠は顔を歪めた。
「だからわざわざ妖力抑えてやってんだよ。少しは分かんな」
「ん」
そのあと少しだけ間が空いたが、再び翡翠が口を開いた。
「尊も尊だね。あいつ、自分の記憶操作術であんたらの記憶消してトンズラすることも出来たのに」
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