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「あいつ、ちょっとでも感情が動くとキレるタイプだからね。今回は相当イラついてたし、それもあんのかも」
「何が原因で?」
「紅のことと、多分坊や達に正体がバレる恐怖」
部屋の施錠を喋りながら難無く外してしまう翡翠。
鍵の必要性は、彼女の前では皆無だ。
「……尊と紅の姉ちゃんって、どんな関係? あいつ、姉ちゃんの顔見てすっげえ寂しそうな顔してた」
「それも後で聞いてやんな。こればっかりは、アタイは答えられないよ。ふふ」
意味深な笑い声を残しながら、翡翠は解錠された扉を遠慮なく開けた。
相変わらず中は明るい。
「ちょっと待ってて」
翡翠は狐白から手を離しながらそう言って、足早に彼から離れて行った。
ぽつんと取り残された狐白は、元の場所に安置されている紅の柩の側面をぼんやりと見つめながらぼーっとする。
いろんなことがありすぎて疲れた。
「はい、お待たせ」
「っ!?」
突然聞こえて来た声に狐白はびくつき、また耳と尻尾を飛び出させた。
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