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翡翠は狐白の言葉に苦笑いしながらそう言ったが、その笑みを引っ込めて俯いた。
「アタイも出来るよ? でもアタイは、同等の代償を支払ってもらわなきゃできないんだよ。まずここに代償になる人間はいないし……いないんなら、オッサンを生き返らせた後、オッサンをこの世から抹消しないといけなくなる」
「…………」
「だから頼むよ、坊や。人間を生き返らせるのは大変だけど、早くしないと時間切れになっちまう。大丈夫。館直すのとそんな大差ないから」
簡単に言う上、内容が矛盾している。
狐白は顔をしかめながらも、翡翠の頼みを聞かない訳にはいかない。
とりあえず変な顔をしたまま頷いて、神主の傍に膝をついた。
「時間制限があるってことは、新月の日じゃダメなんだな?」
「うん……多分。アタイはそう。死んでから時間が経ってない方が、簡単に生き返らせられる。坊やはどうか分からないけど……でも、一応さ。手遅れになっちまったら意味ないし……」
翡翠の言葉に頷いて、狐白は目をつむる。
だがそこまでして困惑する。
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