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「んで……どうすりゃ良いんだ?」
目を開けて翡翠に問う。
彼女は言葉を返すのに何も苦労せず、即答した。
「館を直した時と同じ。オッサンを生き返らせたいって念じれば大丈夫」
「ん、わかった」
翡翠の言葉を受けて、もう一度目を閉じる。
意識を集中させて、強く念じる。
狐白自身は知らないが、館を直した時と同じ光が神主の身を包み、そしてそれが消えると、神主の体には明らかに血が巡り回っていた。
「すっごーい! ホントに初めてなの? 坊やは天才だね!」
「そ、そうか……?」
はしゃぐ翡翠に目を開けた狐白は戸惑う。
神主はまだ目を覚ましていないが、良いのだろうか。
だが明らかに、死人の顔ではない。
「坊やが完全な状態で妖力使ったら、なんでも出来そうだね」
「…………」
狐白はその言葉になにか返事をしようとしたのだが、口が開かない。
体が小刻みに震えて、冷や汗が出る。
そして意識が遠くなって、気付いたら闇の中にいた。
気を失う寸前、翡翠の自身を心配する声が聞こえた気がした。
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