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「あ~……ったく……。シロキツネとクロオオカミ。二人して倒れちまうなんてね。予想外だよ」
狐白を担ぎながら部屋に現れた翡翠に、椿は初めギョッとしたがあまり詮索はしなかった。
急いで布団を敷いて、その上に翡翠が狐白を転がした。
今椿と翡翠、二人は茶菓子を食べながら雑談をしている。
「……で、お嬢ちゃんのお名前は? アタイの名前は……知ってるよね?」
「はい。翡翠さんですよね? あたしは椿って言います」
「椿。可愛い名前。よろしくね?」
翡翠の言葉に椿は笑顔で頷く。
狐白も尊も深い深い眠りの中にいる為、部屋の中は静かだ。
「はぁ……でもびっくりしたぁ。狐白の坊やったらいきなり倒れんだもん。無理させちまったかな……」
翡翠は言いながら色とりどりの金平糖を口に含んだ。
甘くて美味しい。
「ねぇ。椿はどうして狐白や尊達と一緒にいたんだい? 妖怪だって知らなかったのかい?」
「いえ、知ってましたよ。尊のことは知りませんでしたが……。あたし、身よりがないもので……一人でふらふらしてた時に妖怪に襲われて、狐白に助けられたんです。それがきっかけで…………」
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