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「紅、せっかく自分の幸せを見つけたのに死んじまってさ。アタイ、悲しくて寂しくて……辛かった。ようやく立ち直れた感じかな」
「紅さんと翡翠は、どういう関係?」
「ん~……友達? アタイは、紅のこと親友って思ってる。紅、可愛いんだよ。アタイより相当長いこと生きてるはずなのに、どっか子供っぽくて……」
翡翠は笑いながらそう言って、にこりと笑った。
その時不意に尊がむくりと起き上がり、翡翠に視線を向けた。
「あ、起きた」
「……なんでまたてめぇが……あ」
起き立てな上翡翠が目の前にいるせいで完全に素になってしまった。
気付いた尊は慌てて咳ばらいする。
鋭かった瞳が瞬時に優しくなる。
「すみません……。おはようございます、椿」
「おはよ、尊」
「えぇ? アタイは無視?」
尊は翡翠の言葉を無視して体を伸ばし、眠気を飛ばす。
頭痛も無くなり、清々しい気分だ。
だが、体の中の妖力がひどく不足しているのがわかる。
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