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狐白の問いに尊は首を傾げる。
彼の隣で翡翠が何度も首を縦に振った。
「だって、妖怪の時と人間の時のキャラが違いすぎんだろ。翡翠の姉ちゃんもだけど、なんでそんな真逆の性格持とうと思ったんだ?」
「え!? アタイも? ……ん~~、アタイは、憧れかな。紅みたいな大人しい人に憧れてたから」
翡翠が少し頬を染めて恥ずかしがりながら言うと、隣の尊がクロオオカミの眼をして呆れ笑いしながらぼそりと呟いた。
「無い物ねだりだろ……」
「うっせぇな! 聞こえてんぞ! そういうテメェはどうなんだよ!」
言われた尊はパッと妖怪の姿になって挑発するように翡翠に言い返す。
「オレは僧侶に化けてたんだからあの性格が妥当だろ? いちいちオレにつっかかんな」
「テメェが先に言いやがったんだろ!?」
言い争いを始めた二人を見て椿と狐白は顔を見合わせた。
見合わせて、苦笑する。
どうやら尊は翡翠を前にすると無意識に妖怪に戻ってしまうらしい。
森の中で会った時、よく堪えたなと思う。
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