720人が本棚に入れています
本棚に追加
声を掛けられた尊は少し顔を動かして狐白に視線を向け、黙り込む。
キツネの狐白はオオカミの尊に見つめられて背筋が凍る感覚がしたが、目は反らさない。
「……どっからでも良いんじゃねぇ? オレは面倒くせぇことは嫌いだ」
「答えになってねぇ……。んじゃとにかく、アタイら四大妖怪の役割を簡単に説明するとこから始めるか」
翡翠の言葉に狐白は頷き、話を聞く姿勢を作る。
椿は、自分がここにいて良いのかな、と思いながらも狐白と同様、姿勢を変える。
「四大妖怪ってのは、クロキツネの紅を筆頭にクロオオカミの尊、シロオオカミのアタイ、シロキツネの坊やのことを言うんだ。それは分かるね?」
「ああ」
「四大妖怪の役目は、妖怪の世界と人間の世界の橋渡し。馬鹿な妖怪どもは人間を襲うことしか能が無いけど、アタイらはその逆。形はどうあれ、人間を助けるのが役目なのさ」
ふぅん、と呟きながら、狐白は頷いた。
尊は暇そうにぼーっとして頬杖をついたままどこを見ているのかわからない目をしている。
最初のコメントを投稿しよう!