720人が本棚に入れています
本棚に追加
明るい声で締めた翡翠に、二人は再び顔を上げた。
「ゴメンね。上手くまとめられなかったから、分かりにくかったかもしれないね」
「平気。よく分かったぜ。要は俺らは人間の願いを叶える為に生まれたってことだよな」
「そ。内容はバラバラだけどね」
翡翠の言葉に、最後少し重なるように尊が口を開いた。
「もし紅が生きていたら、椿は紅に助けられてたかもしれませんね」
「ぇ? え? なんで?」
尊の口調とその内容に驚いた椿は軽くパニックを起こしながら聞き返した。
「椿、遺児小屋の人々に虐められていたのでしょう? 紅の役目は、そういった人間を救うことです。つまり、あなたを虐めてる人間を懲らしめるのが彼女の役目ですから」
その言葉に椿はそっか、と小さく言って頷いた。
「でもあんた、椿を殺さなかったね。紅がいなくなったとは言え、人間を全滅させる条件揃ってたのに」
「あの頃にはもう人間になってましたからね。それに、もともと私が助けた方でしたから」
最初のコメントを投稿しよう!