四大妖怪

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ふぅん、と翡翠は小さく言って、ちらりと狐白に視線を向けた。 彼女の視線に気付いた狐白は顔を彼女に向ける。 翡翠は狐白と目が合うと、ぱちりと一度ウインクした。 その意味に気付いた狐白は、少し怖がりながらも尊に声を掛けた。 「な、なぁ、尊?」 「? なんです?」 僧侶の姿ならまだ怖くない。 笑顔でこちらを向いた尊に狐白は問う。 「尊と紅の姉ちゃんって、どんな関係なんだ?」 「紅? そうですねぇ。まあ、対を成す存在同士、と言ったところでしょうか。お互い黒い妖怪ですが、幸を呼ぶキツネと不幸を呼ぶオオカミですからね」 その答えを聞いて、狐白ではなく翡翠が口を開いた。 「それくらい知ってんよ。違うだろ? あんたは紅に惚----」 「それ以上言わないで下さい? 消しますよ?」 「んだよ、事実だろ?」 言葉を途中で消された翡翠はつまらなさそうに口を尖らせてそっぽを向いた。 蚊帳の外で話を聞いていた椿は、翡翠が言おうとしていた言葉を理解して、少し俯いた。
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