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尊の言葉に狐白は顔を歪めながらツッコんでから続ける。
「そこのじいちゃん、ばあちゃん、すっげー良い人でさ。俺のこと拾って、ずっと世話してくれたんだ」
「へぇ、よかったじゃん」
「うん。じいちゃん、ばあちゃんには子供がいなくて、俺はその……子供代わりだったらしい。何年かして、人間の格好になれるようになった時は、すっげー喜んでくれた」
へへ、と狐白は笑う。
あの時のことを思い出すと、胸の中が温かくなる。
「そう、十年くらいかな。二人に世話になったの」
「十年? 出てったんかい?」
「ううん、死んじまった。俺のせいで」
狐白のその言葉に三人は驚き、息を呑む。
椿が口を開いて、彼に問う。
「なんで? だって狐白はシロキツネだし、まだ子供だったんでしょ?」
「もともと、じいちゃんとばあちゃんが住んでたとこは妖怪をすっげー嫌う村から少し離れたところだったんだ。村の人間では無かったんだけど……村人が俺の存在に気付いて、押しかけてきたんだ」
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