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竜は、そんな人間が嫌いだ。
お前もそれなのだろう?
そう問うた時には、竜の顔は嫌悪を剥き出しにしていた。
騙す、という事が、誇り高い竜にとっては理解不能だったのだろう。
男は頬杖を付き、竜の表情を真剣そうな顔つきでみる。
すると、口の端が上にクイッと上がった。
「俺は、そんな大層な事を考えられねえよ。」
石から立ち上がり、竜に歩み寄る。
「俺のじい様が言うには、そういうのは頭が良く回る奴がするんだと。残念ながら、俺のオムツは騙す事を考える程、余裕はないんでな。」
『ならば尚の事。早く殺せばいいものを。』
「いや、だってなあ………」
男は、困った様な顔して、後ろ頭を掻いた。
「お前を殺す気なんて、俺にはさらさら無いんだ。」
『………無い?』
男は頷く。
『しかし、先程は狩人だと………』
「家柄ではそうだ。けど、知識はあるだけで俺自身はそんなにはやっていない」
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